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JCICイベントレポート

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若手人材育成ラウンドテーブルレポート ~新たな産学連携の必要性を議論~(2018/4/27)
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2018年4月27日(金)、慶応義塾大学三田キャンパスにて「JCIC若手人材育成ラウンドテーブル」を開催しました。当日は、慶応義塾大学から砂原教授、中村教授、手塚教授の3名の教員、JCICから9名の企業責任者が参加し、サイバーセキュリティ人材育成における産学連携についてディスカッションを行いました。

Breakfast Meeting1

慶応義塾大学のサイバーセキュリティ教育の取り組み
はじめに、中村教授から「慶応義塾大学のサイバーセキュリティコース」について紹介いただきました。昨年度からSFCにサイバーセキュリティコースを開設し、技術だけではなく、法律や政策等も教えています。最近では、サイバーセキュリティを学びたいという意欲を持った学生が増えてきているとのことです。砂原教授からは、「enPiT-Security」の紹介をしていただきました。enPiT-Securityでは、大学生や社会人に向けて産官学が連携し、セキュリティ人材育成を行っています。毎年、100名を超える学生が受講し、認定書を受け取っているとのことです。

民間企業が求める学生像
JCICの企業責任者からは、「新しいビジネスモデルが作れる人材が必要。技術力だけではなく、目利きができる人材が求められる」、「社会人になってから成長できるための基礎能力が必要。そのためには、特定分野での自信を身に着けることが学生時代に必要」という意見がありました。また、「サイバーセキュリティを後から学ぶのは障壁が高くなるため、学生のころからセキュリティ意識を植え付けることが大切」といった意見も出ました。
教員からは、「最近では国の政策や法律に疑問を持つ学生が少ないが、イノベーションを起こすためにはこれらの常識を疑う視点も求められている。慶応SFCはイノベーションを生み出す思考を重視しており、セキュリティだけではなく、様々な考え方や視点があることを教えていきたい」という意見が出ました。

大学と企業の得意分野を認識する必要性
大学では、体系化された理論を教えていますが、実践的なケーススタディやフォレンジック技術を教えることは難しいとのことです。また、企業の考えから大学が発見できることは多々あるとのことです。体系化された理論を学べる大学と、実践的な現場での経験を通して成長できる企業の特長の違いを認識し、それぞれのメリットを双方で活用すべきであるという意見が出ました。そして、企業の現場で起きている事象を大学と共有し、それを大学で研究テーマとして体系化し、調査結果や理論を社会に還元するサイクルが必要という意見も出ました。
また、社会人の学び直しという面でも、産学連携が求められています。セキュリティに従事している人材だけではなく、ソフトウェア開発やシステム構築、新規事業開発を行う人材にもセキュリティ教育が必要です。大学が社会人に対していつでも教えられる機会、第一線で活躍する人材が社会人に教える機会を創る必要性も示されました。「慶應丸の内シティキャンパス」を活用し、社会人のサイバーセキュリティ教育を行うこともアイデアとして出ました。

今後の産学連携としてJCICによる講義実施を検討
今回のラウンドテーブルを通じて、大学と企業の間でのディスカッションの重要性があらためて認識されました。今までは、お互いの取り組みや課題は十分に共有されていませんでしたが、今回のラウンドテーブルを通じて、双方の強みやニーズを理解することができました。JCICでは、今後も膝詰めのディスカッションの場を継続的に提供していきたいと考えおります。
また、トライアル的に、JCIC会員企業から講師を出し、慶応義塾大学のカリキュラムとして講義や演習を行うことを検討することにもなりました。JCIC会員企業の知見を活かしたケーススタディや講義を実施することを今後検討します。