----------------------------------------------------------------------
米トランプ大統領、ポスト量子暗号移行を加速する大統領令に署名(6/30配信)
----------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
【1】まとめ
----------------------------------------------------------------------
・米トランプ大統領、国家安全保障システムのサイバー統治を刷新する覚書に署名
・EU、ウクライナを「EUサイバーセキュリティ予備隊」に追加
・中国当局、「ネットワークデータセキュリティリスク評価弁法」を公布
・ファイブアイズ、AIがサイバーリスクを急変させるとの共同声明を発表
・米トランプ大統領、ポスト量子暗号への移行を加速する大統領令に署名
・米NIST、連邦政府向けIoT製品セキュリティ要件ガイドラインの改訂草案を公開
----------------------------------------------------------------------
【2】海外政策動向一覧
----------------------------------------------------------------------
2026年6月12日 米トランプ大統領、国家安全保障システムのサイバー統治を刷新する覚書に署名
米国のトランプ大統領は、国家安全保障システム(NSS)のサイバーセキュリティ統治を刷新する国家安全保障大統領覚書(NSPM-12)に署名した。NSSは機密情報を処理し、または軍事・情報任務を支える、米政府で最も機微なシステムを指す。本覚書は、1990年の国家安全保障指令42号(NSD-42)と2022年の国家安全保障覚書8号(NSM-8)を置き換えるものとなる。
NSSの基準策定主体である「国家安全保障システム委員会(CNSS)」を35年ぶりに再構築し、全連邦機関に拘束力を持つセキュリティ指令を発出する権限を与える。あわせて国家安全保障局(NSA)長官をNSSの「ナショナル・マネージャー」兼暗号当局に指名し、NSAの技術力を連邦システムの防御に展開できるようにする。
https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2026/06/national-security-presidential-memorandum-nspm-12/
https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2026/06/fact-sheet-president-donald-j-trump-defends-americas-warfighters-and-intelligence-officers-against-cyber-threats/
2026年6月15日 EU、ウクライナを「EUサイバーセキュリティ予備隊」に追加
欧州連合理事会は、ウクライナを「EUサイバーセキュリティ予備隊(EU Cybersecurity
Reserve)」に加える決定を承認した。これにより、ウクライナは自国の対応能力を超える大規模なサイバーインシデントが発生した際に、緊急のサイバー支援を発動できるようになる。
予備隊は欧州連合サイバーセキュリティ機関(ENISA)が運営し、同機関が信頼する民間事業者によるインシデント対応サービスを、重大または大規模なインシデントに見舞われた当事者へ提供する仕組みである。欧州委員会の上級副委員長は「ウクライナを迎え入れることで、我々の集団的防御を強化し、連帯の原則を再確認する」と述べた。
予備隊への新規加入は、2024年のサイバー連帯法に基づき加入したモルドバに続くものとなる。
https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/news/eu-provides-cyber-support-ukraine-against-major-attacks
2026年6月18日 中国当局、「ネットワークデータセキュリティリスク評価弁法」を公布
中国の国家インターネット情報弁公室、工業情報化部、公安部の3部門は、「ネットワークデータセキュリティリスク評価弁法」を共同で公布した。施行は2026年8月20日に予定されている。2026年1月に施行された改正サイバーセキュリティ法に続く、データ保護規制の具体化措置である。
本弁法は、中国国内におけるネットワークデータのセキュリティリスク評価を規範化することを目的とする。重要データを取り扱う事業者には毎年のリスク評価実施を義務付け、一般データを扱う事業者にも少なくとも3年ごとの評価を求める。データセキュリティの状態に重大な変化が生じた場合は、速やかに追加評価を行う必要がある。
評価は自社で実施するか第三者評価機関へ委託するかを選択可能。機関が重大なリスクを発見した場合は直ちに事業者へ通知することが求められる。
https://www.cac.gov.cn/2026-06/18/c_1783525609778371.htm
2026年6月22日 ファイブアイズ、AIがサイバーリスクを急変させるとの共同声明を発表
ファイブ・アイズ(米国・英国・カナダ・豪州・ニュージーランド)の各国サイバーセキュリティ当局は、AIがサイバーリスクを急速に変えつつあるとして、指導者に速やかな対応を求める共同声明を発表した。
今回の声明は、AIが長期的にはサイバー防御を改善する一方、すでに攻撃の速度・規模・巧妙さを加速させつつあると指摘した。フロンティアAIモデルが攻防双方の能力を根本的に変え、脆弱性の発見から悪用までの時間が「数年ではなく数ヶ月」で短縮されうると警告している。
対策として、不要なシステムアクセスの制限による攻撃対象領域の縮小、パッチ適用の迅速化、容易に狙われるレガシーシステムへの対応を挙げた。そのうえで、サイバーリスクはもはや純粋な技術課題ではなく、中核的な経営リスクであり経営層の責務であると強調した。
https://www.nsa.gov/Press-Room/News-Highlights/Article/Article/4523810/five-eyes-cyber-security-agencies-statement/
https://www.cisa.gov/news-events/news/five-eyes-cyber-security-agencies-statement
2026年6月22日 米トランプ大統領、ポスト量子暗号への移行を加速する大統領令に署名
米国のトランプ大統領は、ポスト量子暗号(PQC)への移行を加速する大統領令「先進的暗号攻撃からの国家防衛(EO
14412)」に署名した。大規模な量子コンピュータが将来、広く使われる暗号方式を破る恐れがあり、攻撃者が現時点で暗号化データを収集し後に復号する「ハーベスト・ナウ・ディクリプト・レイター」のリスクに備える狙いがある。
大統領令は、行政管理予算局(OMB)と国家サイバー長官を全国的なPQC移行の主導役と定め、各機関に「PQC移行責任者」の任命を求める。商務省・NSA・国土安全保障省(DHS)が移行の指針を示し、機微なシステムは用途に応じて2030〜2031年までにPQCへ移行する必要がある。連邦調達先にも2030年末までのPQC関連標準への準拠を求める。
同日には量子エコシステムの育成を狙う大統領令「量子イノベーションの次なるフロンティアの開拓」にも署名し、防御と産業育成の両面から量子分野の取り組みを加速させる狙いがうかがえる。
https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2026/06/securing-the-nation-against-advanced-cryptographic-attacks/
https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2026/06/fact-sheet-president-donald-j-trump-secures-the-nation-against-advanced-cryptographic-attacks/
2026年6月24日 米NIST、連邦政府向けIoT製品セキュリティ要件ガイドラインの改訂草案を公開
米国国立標準技術研究所(NIST)は、連邦政府向けにIoT製品のサイバーセキュリティ要件を定めるガイドラインの改訂版「NIST SP 800-213
Rev.1」の改訂草案を公開した。連邦機関がIoT製品を調達・導入する際に、サイバーセキュリティ要件をどのように定義・適用すべきかについて記述している。
NISTは、IoT製品を「システムの構成要素」と位置づけ、システム統合の過程で新たなリスクが生じうるため、更新されたリスク評価に基づき追加のセキュリティ管理策が必要になりうると説明する。連邦調達の基準にとどまらず、広く産業界の期待値にも影響を与える基盤的枠組みとなる。
パブリックコメントは2026年8月24日まで受け付けられる。
https://csrc.nist.gov/News/2026/nist-releases-sp-800-213r1-ipd
----------------------------------------------------------------------
【3】M&A/IPO情報詳細
----------------------------------------------------------------------
2026年6月1日 米Dragos、拡張OT(xOT)セキュリティのPhosphorusを買収
2026年6月3日 米Arpio、サイバーレジリエンス領域で1,500万ドル(約23億円)のシリーズA調達
2026年6月4日 米Opal Security、統合アイデンティティガバナンスで2,300万ドル(約36億円)を調達
2026年6月5日 米Netgear、クラウドセキュリティ(SASE)のExiumと買収合意
2026年6月9日 米Cycurion、SOC/MSSPのSecuvant(Panopticプラットフォーム)の買収完了を発表
2026年6月11日 米Securonix、脅威インテリジェンスのThreatQuotientを買収
2026年6月11日 米Cyera、イスラエルのデータセキュリティ新興ShapeAIを買収
2026年6月16日 米Databricks、セキュリティレイクハウスのPantherと買収合意でAI SOC強化
2026年6月18日 米Accenture、OTセキュリティ大手Dragosの過半数株式を取得