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米国商務省およびシンガポール通信情報省、AIガバナンスに関するパートナーシップを深化(6/18配信)
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【1】まとめ
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・米国商務省およびシンガポール通信情報省、AIガバナンスに関するパートナーシップを深化
・米国NISTおよびジョージタウン大学、公共給付の提供におけるデジタルIDに関する共同研究を開始
・ユーロポール、セキュリティとプライバシーのバランスに係る暗号化に関する報告書を公表
・経済協力開発機構、競争とデータプライバシーの相互関係に関するワーキングペーパーを公開
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【2】海外政策動向一覧
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2024年6月5日 米国商務省およびシンガポール通信情報省、AIガバナンスに関するパートナーシップを深化
米国商務省とシンガポール通信情報省はそれぞれ、AIガバナンスに関する両国のパートナーシップを深める方針について発表した。
現在シンガポールでは約6千社の米国企業が事業展開しており、両国間の貿易は米国全土で約25万人の雇用を支えている。また、米国はシンガポールの投資家にとって最大の技術投資先であり、その額は年間約184億米ドル(約2.9兆円)に及ぶ。これを受け、米国企業は、シンガポールの国家AI戦略2.0に沿ったAICoEを設立するなど、今後数年間で370億米ドル(約5.8兆円)以上をシンガポールのAIエコシステムに投資する予定だという。
両国はこの取り組みの中でAIの安全な利用を共通の関心事項としており、AIガバナンス領域におけるパートナーシップ強化のための施策を発表した。
米国商務部とシンガポール通信情報省は、米国NISTが開発した「AIリスク管理フレームワーク」とシンガポール情報通信メディア開発庁が開発した「AIベリファイ」という2つのフレームワークをマッピング作業を完了している。今後も生成のAIガバナンスフレームワークのマッピング、テスト、ガイドライン、ベンチマークに関して協力を続ける。また、両国のAI安全研究機関の協力やビジネス機会の推進、国際標準の開発、人材育成など様々な分野での共同活動に取り組んでいく方針を示した。
https://www.commerce.gov/news/fact-sheets/2024/06/fact-sheet-us-singapore-shared-principles-and-collaboration-artificial
https://www.mci.gov.sg/us-singapore-shared-principles-and-collaboration-on-artificial-intelligence/
2024年6月10日 米国NISTおよびジョージタウン大学、公共給付の提供におけるデジタルIDに関する共同研究を開始
アメリカ国立標準技術研究所(NIST)はジョージタウン大学は、デジタルAIに関する2年間の共同研究開発プロジェクトを開始した。本プロジェクトは、公共給付の政策とNISTのデジタルIDガイドラインを整合させ、セキュリティ・プライバシー・公平性・使いやすさのバランスを取りながら、公共給付の実装をより適切にサポートすることを目的としている。
NISTとジョージタウン大学は、受益者情報の保護とプログラムの整合性の確保について各機関が大きな課題に直面していると認識しており、アクセスとセキュリティのバランスを適切に取ることが公共の給付と提供を有意義に改善するために不可欠であると説明している。
https://www.nist.gov/news-events/news/2024/06/nist-launches-collaborative-research-effort-digital-identity-support-secure
https://www.nist.gov/identity-access-management/collaborative-research-digital-identity-public-benefits-delivery
2024年6月10日 ユーロポール、セキュリティとプライバシーのバランスに係る暗号化に関する報告書を公表
ユーロポールは関係機関と協力し、セキュリティとプライバシーのバランスに係る暗号化に関する報告書を発表した。
背景として、EncroChatやSkyECCなどの暗号化通信プラットフォームを標的とした作戦により、大規模な犯罪組織がこの技術をどの程度利用しているかが明らかになったことがある。暗号化通信の犯罪利用が急増したため、多くのEU加盟国で新たな法規定が施行され、法執行機関が犯罪捜査で暗号化通信に合法的にアクセスできるようになった。しかし、エンドツーエンドの暗号化によりテクノロジー企業が自身のプラットフォームで発生する犯罪行為を監視できないという課題があったとしている。
これを受け、2024年4月18日にロンドンで開催された非公式会議で欧州警察長官が共同宣言に合意し、業界と政府にソーシャルメディアプラットフォーム全体で公共の安全を確保するための緊急措置を講じるよう求めた。
公開された報告書の5つの主要な結論は以下の通り。
1)プライバシーとセキュリティの適切なバランスを実現するには、データへの合法的なアクセスと司法手続きにおける暗号化された通信の使用に関する法的枠組みを導入することが最も重要である
2)データへの合法的なアクセスとプライバシーの両方を確保するには、通信(5G、6Gネットワーク)・生体認証・DNS・ブロックチェーン・量子コンピューティングなどの暗号化を使用する技術の研究とキャッチアップが必要である
3)通信の全体的なセキュリティを損なうことなく、法執行機関の捜査に役立つ新しいツールを作成するには、学界や民間企業との連携が不可欠である
4)AI製品は、多面的かつ協調的なアプローチを必要とし、深刻な組織犯罪と闘う法執行機関の取り組みを支援することを妨げることもある
5)量子コンピューティングは捜査を大幅に改善できる一方で、暗号化に大きな脅威をもたらすため、ポスト量子暗号への迅速な移行が求められている
https://www.europol.europa.eu/media-press/newsroom/news/equilibrium-between-security-and-privacy-new-report-encryption
2024年6月12日 経済協力開発機構、競争とデータプライバシーの相互関係に関するワーキングペーパーを公開
経済協力開発機構(OECD)は、競争とデータプライバシーの相互関係に関するワーキングペーパーを公開した。
同ペーパーは、OECD競争委員会とOECDデータガバナンスプライバシーワーキングパーティが「競争」と「データプライバシー」という2つの領域における規制当局間の協力と規制措置について議論したもの。両領域の相互作用が、(1)データプライバシーと消費者データの収集が独占禁止法上の問題を構成するか否か (2)データプライバシー規制当局による決定に競争への配慮が織り込まれるべきか (3)もしそうであれば、2つの政策分野の間でどのように相乗効果を高め、緊張を克服することができるか の3点を問題提起した。
長年にわたり収集された膨大な量の個人データに依存するビジネスモデルが確立している現在の状況では、より統合された執行戦略を実現するために従来の概念や法律の枠組みを超える必要性があることを強調した。長期的には、規制当局が横断的且つ効果的に規制協力をすることが最重要であると位置づけた上で、新たなビジネスモデルやデジタル市場における共通目標の達成にむけて当局が専門知識やリソースを共有し、各々の優先事項や仕事の進め方について相互理解を確立するよう努めるべきだとした。また、OECDは専門知識の交換、デジタル市場に関連する政策や規制上の課題に効果的に対処するために、建設的で持続可能な戦略基盤の構築支援、両政策コミュニティへの支援の提供が可能と結んだ。
https://www.oecd.org/competition/intersection-between-competition-and-data-privacy.htm
https://www.oecd-ilibrary.org/docserver/0dd065a3-en.pdf?expires=1718330243&id=id&accname=guest&checksum=A22B1EF909B0EDE521A4DA782FB0AEA9
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【3】6月のM&A/IPO情報詳細
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2024年6月3日 米ArcherHall、法律事務所等にデジタルフォレンジックを提供するVestige Digital Investigationsを買収
2024年6月6日 Tenable、クラウド環境向けデータセキュリティ態勢管理 (DSPM) の Eureka Security を買収
2024年6月10日 Fortinet、Laceworkを買収し、クラウドネイティブアプリケーションの保護をAIで強化
2024年6月12日 Everfox(旧Forcepoint Federal)、ロンドンに拠点を置くGarrison Technology を買収