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JCIC海外ニュースクリップ

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JCIC海外動向ニュースクリップ(2019/1/9)
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[コンテンツ]
【1】まとめ
【2】サイバーセキュリティ業界のM&A/IPO展望
【3】海外政策動向一覧
【4】今月のM&A/IPO情報詳細

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【1】まとめ
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・サイバーセキュリティ業界における2018年の主なM&A/IPOと2019年の展望
・コンゴ民主共和国政府、大統領選をめぐり国内のインターネットを遮断
・ベトナムのサイバーセキュリティ法が施行
・米国上院、DHSのバグ報奨金法案を可決
・デル・テクノロジーズがニューヨーク証券取引所に再上場【IPO情報】

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【2】サイバーセキュリティ業界のM&A/IPO展望
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JCICでは、サイバーセキュリティ業界のM&A/IPO情報調査を通じて、グローバルにおける業界動向にも注視している。今回は、2018年の主なM&A/IPOと2019年の展望についてまとめる。

■M&A(企業買収)
昨年のM&Aでは、まずIBMの動向に注目したい。IBMは、主力セキュリティソフト製品(Appscan、BigFix)やNotesなどをインドのHCL Technologies社に約2000億円で売却した。これは、クラウド強化のためにレッドハット社を巨額(約3.8兆円)で買収する代わりに、採算性の悪い単体のソフトウェア製品を売却しキャッシュを確保する狙いがあった。今後、IBMがセキュリティ事業に引き続き注力していくのか、セキュリティよりもクラウド事業に重点を置くのか、IBMの事業戦略によってセキュリティ業界の勢力図も変わってくるため、動向を注視したい。
また、IPO直前と報道されていたエンドポイントセキュリティのCylance社が、BlackBerryに買収されたことも一部の業界関係者に衝撃を与えた。BlackBerryはモバイル端末メーカーの印象が強いが、現在の主力事業は企業向けモバイルセキュリティ分野である。AI技術を活用したCylance社の機能を今後BlackBerryのモバイルセキュリティサービスに搭載する予定である。
2019年の展望として、大型のM&Aが行われる可能性が高い。例えば、Facebookは大規模な情報流出のイメージを払拭するために、サイバーセキュリティ企業を買収する可能性があると報道されている。また、シマンテックは投資会社のThoma Bravoから買収のアプローチがあったと報道されている。

■IPO(株式上場)
昨年は、エンドポイントセキュリティの2社(Carbon Black社、Avast社)、クラウドセキュリティのZscaler社、脆弱性管理のTenable社などが上場を果たした。2019年には、エンドポイントセキュリティや脅威情報を提供する「クラウドストライク社」が上場予定である。なお、テクノロジー業界まで視野を広げると、ウーバー、エアビーアンドビー、スラック(ビジネスコミュニケーションアプリ)といったユニコーン企業(評価額の高い非上場企業)もIPOを予定している。

グローバル規模で技術革新が進むことで、あらゆる分野でセキュリティのニーズが高まっている。2019年は、テクノロジー企業や異業種によるセキュリティ企業の大型買収によって、セキュリティ業界の勢力図が変わる可能性がある。今後も、日本のニュースでは入手しづらい海外のM&A、IPO情報や見解をいち早くお伝えしていきたい。

(※)出典
http://fortune.com/2018/10/22/facebook-cybersecurity-acquisition/
https://www.reuters.com/article/us-symantec-m-a-thomabravo-exclusive/exclusive-buyout-firm-thoma-bravo-approaches-symantec-about-acquisition-sources-idUSKCN1NB26O
https://investorplace.com/2018/12/10-hot-companies-going-public-in-2019/

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【3】海外政策動向一覧(2018年12月22日~2019年1月4日)
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2019年1月4日 メルケル首相含むドイツ政治家の機密情報流出
ロイター通信は、メルケル首相らドイツの数百人の政治家に関連する機密情報が公開したと報じた。「G0d」と名乗るツイッターのアカウントを通じて過去数週間に流出したものであった。その後、連邦刑事局は20歳学生を本件の不正アクセスなどの容疑で逮捕したと発表した。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-01-04/hackers-release-personal-data-of-hundreds-of-german-politicians

2019年1月4日 英国NCSC、スポーツイベントなどに関するサイバーセキュリティガイドを公開
英国の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)は、大規模な国際スポーツイベントなどに関するサイバーセキュリティのガイドを公開した。セキュリティの原則、初期準備、リスク管理、インシデント管理、アクションリストなどが網羅されている。
https://www.ncsc.gov.uk/guidance/cyber-security-major-events

2019年1月1日 コンゴ民主共和国政府、大統領選をめぐり国内のインターネットを遮断
人口約8千万人の中部アフリカに位置するコンゴ民主共和国政府は、大統領選をめぐる大衆の騒乱を阻止するために、政府主導で国内のインターネットを遮断した。その後、大統領選の結果発表の延期が決まった。国連の人権管理局は、インターネット遮断は更なる暴動を引き起こす恐れがあるとして警告を発している。
https://www.reuters.com/article/congo-election/congos-internet-shutdown-after-election-could-cause-violent-backlash-un-idUSL8N1Z42Y1

2019年1月1日 ベトナムのサイバーセキュリティ法が施行
世界でも特に厳しいと言えるベトナムのサイバーセキュリティ法が1月1日から施行された。ベトナム国内でネットサービスを展開する場合、利用者の本人性を保証する仕組みを確保し、要求に応じて管轄当局にデータを提供・削除すること等が規定されている。
https://edition.cnn.com/2019/01/02/asia/vietnam-cybersecurity-bill-intl/index.html

2018年12月28日 米国保健福祉省、サイバーセキュリティガイドラインを公開
米国保健福祉省(HHS)は医療機関向けのサイバーセキュリティガイドラインを公開した。このガイドラインは、2015年サイバーセキュリティ法の第405条(d)の要求事項を満たすことを目的として作成され、患者情報を保護する際に必要なサイバーセキュリティのプラクティス集としてまとめられている。なお、このガイドラインによる法的拘束力はない。
https://www.hhs.gov/about/news/2018/12/28/hhs-in-partnership-with-industry-releases-voluntary-cybersecurity-practices-for-the-health-industry.html

2018年12月27日 米国企業のファーウェイ、ZTE製品の利用禁止令を検討
ロイター通信は、トランプ米大統領は米国の民間企業に対し、中国のファーウェイZTEが製造した通信機器の利用を禁止する大統領令を発令することを検討していると報じた。なお、政府機関の同社製品の利用は、昨年8月に発効された国防権限法(NDAA、National Defense Authorization Act)で制限されている。
https://jp.reuters.com/article/huawei-zte-trump-idJPKCN1OQ0BP

2018年12月22日 米国上院、DHSのバグ報奨金法案を可決
米国上院議会は、米国国土安全保障省(DHS)のバグ報告に関する報奨金制度、ITサプライチェーンの標準化を目指す省庁間の協議会設置などを含む連邦政府のサイバーセキュリティ強化の法案を可決した。トランプ大統領の署名後に承認されることとなる。
https://www.congress.gov/bill/115th-congress/house-bill/7327/

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【5】今月のM&A/IPO情報詳細
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12月5日 ConnectWise社がMSP事業を展開するSienna Group社を買収
12月6日 Huntington Ingalls Industries社がセキュリティソリューションを提供するG2社を買収
12月7日 インドのHCL Technologies社がIBMのAppscanやBigFixなどの事業を買収
12月12日 セキュリティサービスなどを提供するアルテリア・ネットワークス株式会社が東証一部に上場【IPO情報】
12月12日 LINE株式会社が韓国のサイバーセキュリティ企業GrayHash社を買収
12月12日 SOC事業を展開するArctic Wolf Networks社がリスク評価ツールを提供するRootSecure社を買収
12月19日 セキュリティサービスなどを提供するソフトバンク株式会社が東証一部に上場【IPO情報】
12月28日 RSAやセキュアワークスを傘下に持つデル・テクノロジーズがニューヨーク証券取引所に再上場【IPO情報】